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2013年 12月 17日 ( 1 )

国際ワークショップ報告

「国際ワークショップ・レヴィナス、ハイデガー、ニーチェ――ディディエ・フランク氏を迎えて」が2013年12月15日(日)、東京大学本郷キャンパス東洋文化研究所・大会議室にて開催されました。

今回は、ディディエ・フランク氏を囲んで、UTCP主催、ハイデガー研究会・レヴィナス研究会・CPAG共催、ショーペンハウアー協会ニーチェ部会協賛という5団体の協力による大規模なワークショップ。70名以上の参加者が集まり、席が足りなくなるほどの盛況ぶりでした。

第一部では、レヴィナス研究会、ハイデガー研究会、ニーチェ部会の順で研究発表が行われ、それぞれの発表ののち、フランク氏からのコメントと質疑応答、そしてフロアとのディスカッションが交わされました。

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最初の発表は、小手川正二郎(明治大学・日本学術振興会)氏の司会のもと、平石晃樹(東京大学・ストラスブール大学)氏が「「存在論は形而上学を前提とする」:『全体性と無限』におけるレヴィナスの存在論について」(" L'ontologie suppose la métaphysique ": l'ontologie lévinassienne
dans Totalité et infini.)と題して発表。レヴィナスの存在論の核心を、存在論と倫理学という対立図式ではなく、形而上学を中心に見定めてゆく試みでした。

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二番目の発表は、陶久明日香(学習院大学)氏の司会のもと、茂牧人(青山学院大学)氏が「もう一つのキリスト教は可能か?」(Ist ein anderes Christentum möglich?)と題して発表。ハイデガーの存在史観を踏まえながら、古代ギリシアの哲学とキリスト教のいずれにも形而上学が潜在していることを指摘しつつ、キリスト教の新たな存在論的可能性を明らかにしようとする内容でした。

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三番目の発表は、梅田孝太(上智大学)氏の司会のもと、大久保歩(東京大学)氏が「身体とディオニュソス――ニーチェにおける正義」(The Body and Dionysus.)と題して発表。初期著作へと遡り、身体やディオニュソスの観点から中期以降の正義論を再考するとともに、正義の概念の新たな側面に光をあてる試みでした。

フランク氏からのコメントと応答も、それぞれの発表の核心に迫るもので、各発表者と氏の解釈との相違点も見事に浮彫りになったように思います。

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第二部では、馬場智一(東京大学CPAG)氏の司会のもと、ディディエ・フランク(パリ西大学)氏による講演が「印象の志向性」(L'intentionnalité de l'impression.)と題して行われました。フッサールの志向性を緻密に分析したうえで、最終的に原印象はそれ自体では成立するものではなく、予持と把持へと広がる脱現在化において捉えるべきであると結論。デリダやアンリ以後のフランス現象学における動向を睨みながら、氏の現象学理解を闡明にする講演でした。

レヴィナス、ハイデガー、ニーチェ、フッサールをめぐってそれぞれに専門性の高い議論が展開されたばかりでなく、相互に連関するトピックについても議論が交わされ、各研究団体も互いに大きな刺激を与えあうことができたように思います。これもひとえに、圧倒的に広い射程をそなえたフランク氏の哲学的力量のおかげで実現した相互交流と言えるでしょう。

主催の東京大学大学院総合文化研究科・教養学部付属 共生のための国際哲学センター(UTCP)のみなさん、共催の東京大学東洋文化研究所グローバル化時代における現代思想(CPAG)のみなさん、レヴィナス研究会のみなさん、協賛のショーペンハウアー協会・ニーチェ部会のみなさん、そしてご来場のみなさんに、この場を借りて御礼申し上げます。

by HeideggerAT | 2013-12-17 14:10