ハイデッガー像は、どう変わるのか?:第3回日独哲学会議

ハイデッガー像は、どう変わるのか?:第3回日独哲学会議
Wie verändert sich unser Bild von Martin Heidegger?

このたびハイデガー研究会は、東京ドイツ文化センターと協力し、第3回日独哲学会議「ハイデッガー像は、どう変わるのか?」を下記のとおり開催いたします。どうぞご参加ください。

講演会/ワークショップ
2014年12月13日(土)18:00-21:00
2014年12月14日(日)16:00-21:00
東京ドイツ文化センター図書館
日本語とドイツ語
参加無料、要参加登録
問い合わせ:03-3584-3203
yoshitsugu@tokyo.goethe.org

『黒ノート』(“Schwarze Hefte“)とは、ハイデッガーが30年代の初めに書き始め、70年代の初めに書き終えた哲学的手記である。黒い表紙のノートが黒い袋に入れられて他の人が誰も近づけないように大切に保管されていたので、ハイデッガー自身がこの手記を『黒ノート』と呼んでいたのである。その一部は欠けているのだが、全体で30冊以上残されていた。それは、手記とはいうものの、決して個人的な書き物といった性格のものではなく、周到に準備された本格的な哲学的テキストなのである。ハイデッガーは、これを全集の一番最後に出版するように指示していた。

この『黒ノート』が、2014年3月にハイデッガー全集の94、95、96巻『省慮』I, II, III („Überlegungen“ I, II, III)として出版された。全体としては、1200ページ以上の大著である。編集は、ペーター・トラヴニー(ヴッパータール大学)が担当した。

この『黒ノート』の出版に先立ってその内容の一部が、フランスのハイデッガー研究者の間に伝えられた。そこにハイデッガーが、反ユダヤ主義的な言動をしていることが明らかになったのである。これをめぐって2013年の末からフランスとドイツのメディアを中心に連日のように激しい議論が展開され続け、『黒ノート』の出版を研究者のみならず一般の読者も固唾を飲んで待つという状況となったのである。一つの哲学書の出版が、その出版に先立ってこれほど注目を集めたことはかつてなかった。

なぜなのか。ハイデッガーが20世紀の最も重要な哲学者の一人であり、その哲学が現代の哲学の基盤を形成していて、この基盤の上で現代哲学が展開されていることは紛れのない事実である。ハンス-ゲオルク・ガダマー、ハンナ・アーレントなどは彼の弟子である。フランスではジャン-ポール・サルトル、ジャック・デリダ、ミシェル・フーコー、エマニュエル・レヴィナス、ジャック・ラカン、モーリス・ブランショなどが、ハイデッガーの哲学を基盤にしつつ、それぞれの思索を展開している。ハイデッガーはまさしく現代フランス哲学の骨髄部分を形成しているのである。その彼が、一時、国家社会主義ドイツ労働者党を支持したことはよく知られている。そして今回、反ユダヤ主義的な言動をしていることも明らかになった。国家社会主義ドイツ労働者党の支持者で反ユダヤ主義者、この二つは第二次世界大戦後を生きる健全な人間にとって最悪の組み合わせである。そのような価値観を持つ人間には、人間失格の烙印が押されることになるかもしれない。20世紀最大の哲学者が我々にとって最悪の価値観を持っていた。この究極の矛盾が我々を驚愕させ、これほどの注目を呼ぶのである。ここにおそらく我々が思考の努力を傾注すべき問題の核心があるのである。

『黒ノート』が出版され、それをめぐるメディアでの議論は、沈静化したが、それは我々が、『黒ノート』を読み考える努力する時期が到来したということである。『黒ノート』が我々にとって真の課題となったということである。『黒ノート』以後もハイデッガーは20世紀最大の哲学者として残るのか、それとも彼の哲学は悪しき価値観を孕むものとして廃棄されるのか。彼の哲学が破棄されるべきだとして、現代哲学の基盤となっている彼の哲学をそう簡単に廃棄することができるのか。そのように問いながら我々は今回『黒ノート』を我々の課題として受け止める。そしてドイツから『黒ノート』の編者ペーター・トラヴニー氏本人をお迎えする。日本からは哲学研究の前線で活躍する研究者にお集まりいただく。このように独日の英知を結集して『黒ノート』について議論し、その解明に努め、『黒ノート』が我々をどこに導こうとしているかを見定めてみたい。

プログラム:

2014年12月13日(土)18:00-21:00
講演

ペーター・トラヴニー(ヴッパータール大学)
「『黒ノート』の出版は、ハイデッガーの評価に何をもたらすのか?」
齋藤元紀(高千穂大学)
「『黒ノート』の出版は、ハイデッガーの評価に何をもたらすのか?」

2014年12月14日(日)16:00-21:00
ワークショップ

(1)ペーター・トラヴニー(ヴッパータール大学)
(2)加藤惠介(神戸山手大学)
「いくつかの区別について」
(3)轟孝夫(防衛大学校)
「ハイデッガー『黒ノート』における反ユダヤ主義の存在史的背景」
(4)三島憲一(大阪大学名誉教授)
(5)中田光雄(筑波大学名誉教授)
「ハイデッガーにおける<ドイツ的なもの>と<フランス的なもの>」

司会:渡辺和典(学習院大学)&関口浩(早稲田大学)
通訳:陶久明日香&岡本美枝

共催:日独文化研究所
協力:ハイデッガー研究会


https://www.facebook.com/events/1572136706347582/
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by HeideggerAT | 2014-09-25 17:32
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