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ハイデガー研究会一月例会と新企画のお知らせ

ハイデガー研究会1月例会予告

*明けましておめでとうございます。今月から、新企画として、故渡邊二郎氏の作成された試訳を検討しながら『哲学への寄与』を再読する輪読会をスタートさせます。従来どおり研究報告と討論も行います。

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日時:2009年1月25日(日)15時から19時まで
場所:法政大学92年館大学院棟(予定、教室未定)
プログラム1(15時~17時):『哲学への寄与』輪読会(渡邊試訳を参考に) 訳読担当:山本英輔氏 司会:陶久明日香氏
プログラム2(17時20分~18時45分):研究報告 「ハイデガー存在論の構造転換と場所論の課題」報告者:景山洋平氏
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以下、新企画のお知らせです。

なお、故渡邊二郎氏作成の試訳『哲学への寄与』のファイルのダウンロードは、以下の手順に従って行ってください。ファイル形式はMicrosoft Word File(doc.)で、暗号化されています。復号化のパスワードについては、下記のとおり別途お問い合わせください。

ダウンロード手順
①以下のアドレスをブラウザにコピー&ペースト、移動します。
http://zeitspielraum.hp.infoseek.co.jp/Beitraege-Vorblick-Watanabe.exe
②自動的にBeitraege-Vorblick-Watanabe.exeファイルのダウンロードが始まります。パソコンの任意の場所をダウンロード先として指定してください。
③ダウンロード後、上記ファイルをダブルクリックしてください。パスワードを入力すると、復号化されます。

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*ハイデガー研究会新企画<『哲学への寄与』再読>の趣旨
 われわれハイデガー研究会(東京)では、毎月の例会前半の輪読会の部で、ハイデガー全集第19巻(Platon: Sophistes)序論のアリストテレス解釈の部分を、2007年4月から読み始めました。2007年9月の第二回ハイデガー・フォーラムでアリストテレス特集が組まれたりもしましたが、ハイデガー研究会ではその後もこつこつ読み進め、2008年12月をもって、予定していた部分まで読み終えることができました。そこでわれわれは、次なる輪読テクストとして、全集第65巻(Beitraege zur Philosophie)を選ぶことにしました。

 ハイデガーの「第二の主著」と呼ばれることもあるこの重要著作を、われわれの研究会では、 1995年の創立以来、十年以上にわたって読み進め、いったん読み終えました。よりにもよってそのテクストを、なぜふたたび取り上げるのか。この点、少し長くなりますが、説明させていただきます。

 われわれが全集第65巻に取り組んでいた時期に、英語訳や英語による解説書、創文社版全集の邦訳『哲学への寄与論稿』、さらにハイデガー研究会メンバーによる『ハイデガー『哲学への寄与』解読』(平凡社)、ハイデガー研究会の論文集『ハイデッガーと思索の将来―哲学への〈寄与〉―』(理想社)、等が続々刊行されました。今後、ハイデガー研究会のメンバーによる専門研究書も複数公刊される予定です。そうしたここ数年の活況のなか、2008年5月に故渡邊二郎氏の遺著『ハイデッガーの「第二の主著」『哲学への寄与試論集』研究覚え書き』(理想社)が出版されたのは、記憶に新しいところです。

 ところで、翻訳の名手でもあった渡邊氏は、病魔と闘いながら本書を執筆するに先立ち、驚くべきことに、全集第 65巻の全文試訳を完成させていたのです。書斎のコンピュータに残されていたA4換算で367頁に及ぶ膨大な訳稿は、学術的価値のきわめて高いものです。翻訳権の制約上、この珠玉の遺作をすぐに出版するのは残念ながら難しいのが実情なのですが、それでも、近い将来に何らかの形で公けにすることは、現代日本の哲学研究の活性化を願う者たちの責務ともいうべき事業です。

 そこで、われわれハイデガー研究会では、この渡邊訳のデータを、ご遺族の許可をいただいて、2009年1月から始める二度目の輪読会で活用させていただくことにしました。毎回、担当者が輪読箇所の渡邊訳をあらかじめチェックして完成訳文を用意し、それを読み上げます。参加者は、原文と照らし合わせてこれを再度チェックし、最終的に訳文を確定します。これを毎月進めていけば、数年後にはハイデガー研究会監修の渡邊二郎訳『哲学への寄与試論集』の完成原稿が出来上がることになります――いつの日かそれが出版されることを願って。

 故人の偉業には敬意を表しつつも、独特の訳し方が数多くみられる渡邊訳にわれわれ一人一人が完全に賛同するかどうかは、もちろん別問題です。しかし、オリジナルな訳語を駆使しながら難解なテクストを日本語に定着させようとする訳者渾身の学的努力には、学部生レベルの初心者も、中堅の専門研究者も、大いに学ぶべき点があることでしょう。多くの好学の士がこれを機会にハイデガー研究会の例会に参加され、ハイデガーの最重要テクストの翻訳事業に参与されることを願ってやみません。

 なお、ご遺族から回覧の承認をいただいているとはいえ、渡邊訳データは訳者の遺品でもある未定稿なので、取り扱いにはくれぐれも注意する必要があります。この点、みなさまのご理解とご協力を切にお願いいたします。ハイデガー研究会のHP(http://heidegger.exblog.jp/)には、渡邊訳の電子データの最初の部分(Vorblickの訳文)を掲載しますが、ダウンロードするにはパスワード入力が必要です。毎回の輪読会参加希望者は、HP管理者の齋藤元紀さん(motokist@m6.dion.ne.jp)にパスワードを、メールでお尋ねください。当日の飛び入り参加者には、担当者が訳文コピーを配布しますので、ご安心を。

 記念すべき「あらたな始まり」の第一回輪読会の担当は、山本英輔さんにお願いしています。初回ということもあり、スペシャリスト山本による有益なイントロダクション付きです。議論の的となっている書名と副題の意味するところも闡明してもらえそうです。本文の1頁目から断章3番まで読む予定です。また、例会後半の研究報告は、東大院生の景山洋平さんによる「ハイデガーのカント解釈」再考です。みなさま、お誘い合わせのうえ奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。 (2009年1月4日森記)
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by HeideggerAT | 2009-01-10 23:44
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